スマートコントラクト(smart contract)とは

◇スマートコントラクトとは

スマートコントラクトとは契約の自動化と訳される。事前に設定された条件に基づいてシステムがスマート(自律的)にコントラクト(条件に基づいたプログラム)を実行することからこのように呼ばれる。

現在実装されているものとしては、イーサリアムが提供するプラットフォームが挙げられる。

スマートコントラクト自体は、90年代にNick Szabo(法律・暗号を専門とする学者)により概念が提唱されていた。

Szaboは飲料の自動販売機がスマートコントラクトという概念の起源とした。自動販売機は「ユーザーが希望する商品の代金分、金額を投入する」、そして「希望する商品のボタンを押す」の二つの条件が揃うと自動で「ボタンで選択された商品を提供する」という行動を実行する。

このようにスマートコントラクトが扱う契約とは、書類上で交わされた契約のみではなく、取引や決済の範囲まで意味が含まれる。

そして、広義ではビットコインの存在自体をスマートコントラクトと言える。

ユーザー間でのビットコインの送受金は、一定条件の元で履行される契約である。現在ブロックチェーン技術の発達とともに提唱されているスマートコントラクトとは、ビットコインの持つスマートコントラクト要素を貨幣以外の使い方へ拡張したものとして理解される。

以下はスマートコントラクトの仕組みを解説した動画。

 

◇スマートコントラクトが注目される理由

  • 契約が確実に履行されること

スマートコントラクトで行われる契約は、プログラム化されコンピュータにより自動で行われるためシステムがセキュリティが破られない限り履行される。

これは通常の契約である、人が書面上などで交わす契約を行う際に生じる問題が発生しないことを指す。書面上にて契約を行う場合には相手が信用に足る相手なのか、契約の内容が詐欺に当たるか、確実に契約が行われるかなどの判断が必要になるケースもある。

しかし、スマートコントラクトが実現されることで上記のような問題は発生せず、契約期間中に条件が満たせないと判断されれば自動で対象のシステムを停止するなどの措置が取られる。

またスマートコントラクトを利用することで、互いの契約履歴がブロックチェーン上に保存されているという透明性も併せ持つ。

 

  • 契約を履行するためのコストが低下する

スマートコントラクトはブロックチェーンを技術を利用しているので、第三者が仲介に入る必要がないためシステム運営に費用が掛からない。そのため現在ECやオークションを扱うサイトに導入されている、取引のため第三者を仲介するエクスロー機能が必要ない。

エクスロー取引とは、サイトユーザーが商品を購入する際にまず第三者に代金を預け、商品到着を確認したのちに出品者へ代金を渡すためのサービス。

その他契約が履行されない場合や、また不正を防止するための対応配慮をする必要がないため、人件費などの運営コストも必要がなくなる。

 

その他スマートコントラクトの応用が期待される例として以下のものが挙げられる。

  • レンタカー
  • 不動産賃貸
  • 電子コンテンツの貸与、贈与
  • 弁護士や会計士などの士業
  • クレジットカード
  • マルチシグ

マルチシグ(multisig)とは、multi-signatureの略。スマートコントラクト上の動作にて複数人の許可が必要となる仕組み。送金の安全性を高める目的に使われ、特定の3人のうち2人などのような調節も可能。

今後社内などで用いられる印鑑の代用としての利用が考えられている。

 

◇スマートコントラクト発展形、DAOとは

  • DAO(Decentralized Autonomous Organization)とは

DAOとは「分散され、自動化された組織」という訳となる。

これはブロックチェーン技術によりユーザーの各端末に分散された組織や企業のシステムが、スマートコントラクトにより自動でその機能を果たすことを指す。

つまり多くのスマートコントラクトが積み重ねられ、互いに作用しあうシステムが継続して存在することで組織や企業としての役割を果たすと言える。

例としてはイーサリアムやビットシェアズが掲げる音楽売買システムが挙げられます。

料金を支払うことで端末に音楽データが届き再生が可能になる仕組みをレコード会社などのシステムが一括で行うのではなく、各ユーザー間で完結するためのスマートコントラクトの集まりがDAOであると言えます。

またDAOの派生としてDAC(Decentralized Autonomous Corporation/Company)と言う概念も存在します。DACはビットシェアズが提唱しており、機能自体はDAOと同じだが株式に相当する仮想通貨を持つ株主に対し、配当が発生する。

そのためDAOは株主への配当が発生しないDACであると言い換えることもできる。

また日々多くのスマートコントラクトプロジェクトが生まれている。

 

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