今年の2月iPhoneなどを提供するApple社に対し、カルフォルニア州裁判所がテロ行為実行犯の所持するスマートフォンへFBIがハッキングすることへ支援するよう伝えた。
その後アメリカ合衆国ではプライバシーと暗号技術についての議論が活発化している。
先月開かれたSXSW Tech-Festivalにて、オバマ大統領の語った内容が話題となっている。
「個人のプライバシーよりも、公共の安全が優先される場合もある。もし政府がアクセスできない端末を国民が持ち歩き、そこに財産を入れられていたら、政府は税収すらままならない。まるで国民全員が、スイス銀行の口座を携帯するようなものだ。公共の安全のためには、政府が必要に応じてスマートフォンへアクセスすることを、国民に認めてもらう必要がある」
◇オバマ大統領は犯罪の温床となることを懸念
オバマ大統領やアメリカ合衆国の行政は昨今の暗号化技術の発展に伴うプライバシーの問題について、政府の管理下を離れることで犯罪の温床となることを懸念しているようだ。
「今最も重要なことは暗号化技術の発展によって、ハッキング不可能なシステムが構築可能なのか否かだ。政府の手が届かないシステムは、世界的に見て犯罪に利用される可能性が高いため、単純にプライバシーの問題としては片付けられない。例えばテロ行為や児童ポルノに対抗するためには政府専用の“バックドア”を設ける必要がある」
バックドアとは特別な権限を持ち、無許可でシステムにアクセスできる機能を指す。
現在政治家が主張するバックドアのアクセス権については、技術系企業と議論の的になっている。
Apple社のティム・クックは、政府専用のバックドアは用意しないとする趣旨の発言をした。
暗号技術や銀行口座などから、話題の対象にビットコインやブロックチェーンの技術が及んでいることは推測できる。オバマ大統領の懸念も、テロ組織がビットコインをマネーロンダリングに利用したとの疑惑を考慮しての発言とみられる。
ヒラリー・クリントンはマンハッタン計画に言及し、政府と企業が一体となることが必要だと語った。技術の発展とその利用については、いつの時代も難解なテーマだ。
商品先物取引委員会の理事、ジャンカルロは政府が規制を行うことは技術の発展を阻害する趣旨の考えを発表していることから、現在はアメリカでも結論が出ていないようだ。
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