仮想通貨業者に規制、国会にて改正法が成立

5月25日、参院本会議にてビットコインなど仮想通貨交換業者への規制が盛り込まれた、改正資金決済法が成立した。

主な内容としては仮想通貨交換業者に対する金融庁への登録義務付け、また必要に合わせて立ち入り検査や行政処分の対象に含まれるなど。公布後、1年以内に施行される予定だ。
日本国内で営業していた当時世界最大の仮想通貨取引所、マウントゴックスが2014年2月に経営破綻したニュースから2年が経ち、国が仮想通貨利用者の保護へ乗り出した。

またその他の背景として、国際的なテロ組織の資金源としてビットコインが用いられていた疑惑も報じられており、新たな決済手段の監視を視野に入れたテロ資金対策が本日から開催される伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)にて扱われることも関係するとみられる。

仮想通貨は現在世界に700種類近くが存在し、2015年度の国内取引規模は1800億円以上を記録し前年度の25倍に及んだ。

 

◇資金決済法の改正は利用者へ安全を提供するのか

以下に今回の改正資金決済法による仮想通貨利用者への影響などを述べる。

 

・今回の資金決済法改正の目的

仮想通貨を扱う取引所サービス提供者を登録制とすることで、金融庁の管理下において仮想通貨利用の安全性が担保されることだ。

登録制にすることで国内の仮想通過取引所は金融庁管理下に置かれ、必要に応じて金融庁から業務改善や業務停止の命令が出される。

 

・仮想通貨交換業者が登録制へと移行することの意義

これまでは仮想通貨交換業を営むことに規制はなく、個人で運営される仮想通貨取引所も存在した。

しかし今回の資金決済法改正により、既存の取引所のように仮想通貨交換業を行うには必要事項を記載した、登録申請書を内閣府へ届け出る必要がある。

登録申請書の内容としては事業所の住所や資本金額、取締役や監査役の氏名などや、財務書類など適切に業務管理が行われていることを示す書類が必要となる。

そして登録申請書が内閣府にて受理されると、仮想通貨交換業社登録帳簿へと登録が行われる。

仮想通貨交換業社登録帳簿自体は公開されるため、誰でも閲覧することが可能となる。

そのため利用者側としては新たな取引所などを利用する際、対象の業者を事前に仮想通貨交換業社登録帳簿へ登録されているかを確認することができる。

・取引所への会計監査の義務付け、内閣府による監督、業務改善命令の対象となる

施工後は取引所に対して、利用者への情報提供や安全管理などが適切に行われているかを監査法人などが定期的に監査することが義務付けられる。

また同様に事業年度ごとに監査済みの帳簿書類、報告書を内閣府へ提出することも義務となる。

その報告書に基づき、必要に応じて業務運営や財産状況から内閣府の判断にて業務改善命令が発せられる。

このことにより、取引所の不正や資金の悪用を未然に防ぐ意図があると思われる。そのため2年前のマウントゴックス社破綻問題のような事例を避けることができる。

 

・登録済み取引所への、登録取り消しを内閣府が行うことが可能

適正な手続きを経て仮想通貨交換業社登録帳簿へ登録された組織に対して、法令違反などのケースが発覚した場合には内閣府の判断で登録を抹消することができる。

登録を抹消された取引所は、管理しているユーザー財産の返還義務が発生することとなる。

現在は取引所の利用者に対し被害が発生した場合に取引所側には保証が義務付けられていないが、施工後は利用者に対しての保証が義務付けられる。そのためより安全に取引所を利用することが可能となるとのこと。

◇世界的にブロックチェーン産業への規制が進む

ブロックチェーンサービス市場の広がりとともに、ニューヨーク州金融サービス局が行う仮想通貨事業ライセンス制度「BitLicense」に代表される、公的機関からの規制が話題となることが増えている。

現在規制方法についてはデリケートなトピックとなっており、賛否両論である。

先日取引所Geminiがニューヨーク州の認可を得てイーサの取り扱いを開始したが、認可を受けてイーサを取り扱う取引所がまだ1件しかないとの見方もでき、迅速なサービス普及の阻害になっているとの意見もある。実際に米国大手取引所Kraken、PoloniexなどはBitLicenseに従わずニューヨークでの事業を行わない方針を示している。

またShapeShiftのCEOがBitLicenseに沿っていた場合、ハッキング被害拡大に繋がるという趣旨の発言を行うなど、米国での規制方法については議論の余地を残している。

しかし規制が行われないことで不正な利用を促進し、マネーロンダリグなどへ応用可能な技術であるため、適切な規制は避けられない。

今回の改正法は適正な取引を保証し、安全な発展を促すものとなるか。

 

 

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