先日、東京やシンガポールを中心に事業を行い、仮想通貨取引所の運営などを行うQuoine(コイン)が追加調達金額を含めて約20億円の資金調達を行う見通しが明らかになった。
今回資金調達が行われた背景には先日行われた改正資金決済法が成立したため、今後日本におけるビットコインなど仮想通貨の需要が増加することを見越してのものだ。
Quoineではここのところ人事面でも動きがあり、創業以来CEOを担ってきたMario Gomez-Lozada 氏がシステム開発に注力するためCTOに就任、4月1日からは同じく創業チームのひとりである栢森加里矢氏がCEOへ就任した。
栢森氏はQuoine以前には三菱商事やソフトバンクにて、新規事業の開発などのキャリアを積んできた。またシンガポールにあった本社を東京支社へ移し、今後日本でのビジネスに注力することも公表されている。
◇Quoineの本社移転で、一躍日本最大の取引所へ
仮想通貨取引所のビットコイン取扱高を公開している「Coinhills」のランキングによると、3位までは冬季に積極的な中国の取引所が名を連ねているが、4位にQuoineがランクインしている(2016年6月22日現在)。これは日本でも有数の取扱高を誇るBtcBoxやbitFlyerを凌ぐ順位である。
また柏森氏は日本でのFX取引市場が5000兆円という規模に成長していることに言及し、その1割である500兆円規模まで仮想通貨を利用したFXに移行すると予測している。
◇CTO Mario氏の技術力を生かし、B2B事業の展開にも意欲
また柏森氏はQUOINEの方針のひとつとして、B2B事業に対しても意欲的な構えだ。
QUOINEの持つ長所として処理能力の高い仮想通貨取引システムを挙げており、1秒間に100万件をほぼ99.9%のレベルで処理可能とのこと。すでに導入している企業も存在し、今後も金融企業向けに展開していくとのこと。
こちらも資金決済法の改正を受けて、既存のFX企業や有価証券を扱う金融企業が仮想通貨事業に乗り出すことを見込んで仮想通貨取引用システムを供給する。
携帯電話ビジネスにて電話回線をレンタルし格安SIMを提供する企業を例に出し、多くの企業が仮想通貨事業へ乗り出すサポートを行うとのこと。
それら仮想通貨事業の土台となるQUOINEの仮想通貨取引システムに柏森氏が自信を持つのも、CTOに就任したMario氏の存在だ。
そもそもQUOINE創業の契機となったのがクレディスイスの日本法人にて技術部門、情報戦略部門のトップであったMario氏との出会いである。
Mario氏はクレディスイス以前にもメリルリンチにて金融システム開発に携わったキャリアを持ち、金融プラットフォーム開発について多くの知見を有している。
また仮想通貨取引所における不祥事には内部の職員が関わるものも多い。QUOINEは金融機関で培った知見をリスクマネジメントへも活かすとのこと。
世界有数の取引高と豊富な金融システムの開発、運営知識を持つQUOINEは、今後日本の仮想通貨市場において台風の目となるか。注目だ。
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