分散型ファイルストレージシステム「Storj(ストレージ)」と、ビットコインのブロックチェーンを利用した分散型金融プラットフォームを提供する「Counterparty(カウンターパーティ)」の開発チームが共同で行うペイメントチャンネルの開発に関する情報が先日明らかになった。
今回公表されたペイメントチャンネルはCounterpartyの提供するプロトコル上で開発が進んでいるとのこと。
今回焦点となったペイメントチャンネルとは、ビットコインをブロックチェーン外であるオフチェーンにて早く、安く送信するためのテクノロジーとして話題となっている。ペイメントチャンネルに近い技術としてはライトニングネットワークが挙げられる。
ブロックチェーンの負荷を抑えて少額払い(マイクロペイメント)可能、手数料が減るとの特徴からスケーラビリティへの対応策としても注目された。
◇Counterparty内にてビットコインとトークンとの迅速なマイクロペイメントが可能に
開発の発端となったのはCounterpartyの特徴的な機能である独自トークン発行機能でStorjが発行した仮想通貨「SJCX」を少額払いへ対応させるために試験的に開発へ着手した。
そしてStorjとCounterpartyの共同開発として進み、プロジェクト名は「Picopayments」となった。すでにサービスとしては完成を目前としており、Counterparty内リリース前の最終テストとそのレビューを終えるのみとなっている。
またPicopaymentsプロジェクトの意義として、CounterpartyにてビットコインとCounterparty内トークンの間にて少額決済が可能になると伝えられている。ビットコインには本来取引時に10分間の認証が必要だが、より早くビットコインとCounterparty内トークンが取引できることとなる。
そしてもちろんPicopaymentsが利用可能となるのはStorjに限らず、Spell of GenesisなどCounterpartyで機能するすべてのプロジェクトが対象となる。
2016年の8月中を目処にPicopaymentsはテストネットに実装されユーザーの利用に耐え得るかのテストを繰り返す。
現段階ではユーザーから対象のユーザーへ送金するのみだが、送受金可能なマイクロペイメント機能とライトニングネットワーク実装を目指し開発を進めるとしている。
◇ペイメントチャンネルとライトニングネットワークとは
ペイメントチャンネル(ペイメントチャネル)とはビットコインの課題であるマイクロペイメンツが不可能、1つの取引を終えるのに10分の認証時間が必要、手数料が高額であるといった話題と、ビットコインの利用が増えすぎた場合に遅延が発生するなどといった事態が予想されるスケーラビリティ問題に対応するために生まれた概念である。
そして簡潔に述べるならば、ペイメントチャンネルとはその対象が個人間で完結するのに対し、ライトニングネットワークとはペイメントチャンネルが多くのユーザー間で複雑にネットワーク化された状態を指す。
ペイメントチャンネルの特徴としては
- 1000分の1秒といったわずかな時間で数千の取引情報をやり取りできる
- ビットコインの最小単位である1satoshi(0.00000001BTC)までを支払い単位として利用可能
- ビットコインのブロックチェーンとは別の層で扱われる取引のため、採掘に必要なコストはチャンネルを作成するときとチャンネルを削除するときしかかからない(ただブロックチェーンを利用するため、スケーラビリティ問題を根源的に解決するわけではない)
ペイメントチャンネルを特定のユーザー間に作成すれば上記の条件で、ユーザー間で取引を行うことができる。
そしてペイメントチャンネルによって個々に繋がったユーザー1と2、2と3、3と4が存在する場合、既存のチャンネルを利用してユーザー1とユーザー4間でも送金が可能となる。
そのような既存のチャンネルを経由して取引可能となる状態をライトニングネットワークと呼ぶ。
ライトニングネットワークを利用すれば直接的にペイメントチャンネルで繋がっていないユーザー間での取引においても、既存のユーザー間に存在するペイメントチャンネルを経由して取引可能となるため、特定の取引のためにネットワークを用意する必要がない点も優れた点と言える。
今後のビットコインブロックチェーンのスケーラビリティ問題へのソリューションとなる可能性もあるマイクロペイメント、今後の続報を期待したい。
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