プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers )が新たに発表したレポートによると、近年盛り上がりを見せるFinTech業界のスタートアップに対し、何らかの脅威を感じている金融サービス関連企業が全体の83%へ上るとのこと。
さらに対象を銀行業を営む企業の管理職へ限定すると、その比率は95%を占める。
プライスウォーターハウスクーパースはロンドンに本社を持つ世界4大会計事務所の1つで、2012年の売り上げは315億ドルに達し世界4大会計事務所の中でも1位となった。
今回のレポートは世界46の国から500人を超える業界関係者を対象にしたとPwCは伝えた。
さらにレポートでは既存の金融関連企業の社員は「FinTechスタートアップの影響は、既存企業の業務のうち23%を奪う可能性がある」、そしてFinTechスタートアップ企業は「既存金融企業の業務のうち33%を獲得できる」と認識しているとのこと。
◇送金、決済業務関係者はブロックチェーンの可能性を認識、他は過小評価か
レポートは続く。既存の金融システムを利用する企業のうち、送金や決済に関するサービスを提供する企業は数年以内に28%の業務がFinTechスタートアップに成り替わると危惧している。これは平均を上回る数値だ。
またそれに付随するように、今回の調査で送金や決済に関する業務に従事する者ほど、ブロックチェーン技術に対する理解が深い傾向が出た。
そして全体で見ると57%の回答者はブロックチェーン技術を自社では導入しないと答えた。
アンケートの回答のみを見ると既存の金融サービス関係者が「ブロックチェーンを脅威とは感じるが、自社では採用しない」といった矛盾する考えを抱くように見える。
この結果の理由に対しPwCは「金融企業関係者の、ブロックチェーン技術に対する理解が不十分であるため」とした。
その根拠として回答者の80%以上はブロックチェーンについて「多少理解がある」と答え、「充分に理解している」と答えた回答者はごくわずかであった。
このことから既存の金融サービス提供者は、ブロックチェーン技術の持つ影響力を正確に捉えられていない可能性があるとのこと。
◇PwCはブロックチェーンの可能性を評価
以前からPwCはBlockstreamやBloqのブロックチェーンスタートアップと取引があるなど知見も多く、レポート内でもブロックチェーンの可能性に触れた。
「ブロックチェーン技術は今後の金融システムの在り方に根源的な変化を与える。既存の金融機関の収益体系は再構築されることを避けられず、ブロックチェーンプラットフォーム技術を提供するものだけが利益を手にすることができる」
PwCが評価するブロックチェーンの可能性としては、金融サービスのバックオフィス業務の効率化、業務の透明性、そしてスマートコントラクトにあるとした。
「最もブロックチェーンの可能性を感じるテーマの1つとしては、スマートコントラクトが挙げられる。まだ研究開発を続ける必要があるが、企業の業務効率化に大きく貢献する可能性を持つ」
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